スウエーデンの面白いものたち


by nyfiken
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Geneva

雨のジュネーブ偶然ホテルのロビーで,知人との待ち合わせで行ったホテルのロビーで、20年ぶりに再会したドラマのようなふるい知人(南の島であって以来、その人は15年ぶりの来ジュネーブ。)また偶然ジュネーブにアフリカから会議で、きていて、翌日日本へ向けて出発するという知りあい。みんなで一緒に雨のジュネーブをさまよう。ホテルのレセプションの女性からすすめられたイタリアレストランカサノバへ向かう途中迷い、雨の中、偶然足をとめ、なんとなくみんなの意見が一致。カサノバのかわりに、アトランタというモロッコ料理店へはいる。

その夜、年配のモロッコ人店主がそつなく働く小さなレストランで、なつかしくも不思議に温かな音楽が流れていた。ある曲が流れて、思わず”あ、このCDわたし、持っているわ。”アフリカの横に浮かぶ島の音楽よ。ポルトガルの憂いのあるバラード。ポルトガル植民だった島なの。でもフランスでも人気があるのよ。というと、20年ぶりにあった知人は、やはりわたしもこの音楽持っています。えーとなんという島だったかな。と知り合い。

その音楽は、実はジュネーブ滞在中に亡くなったわたしの古い友人の訃報を突然東京で聞いた夜、いたたまれなくなってCDを聴いたときに、数枚はいるランダムに音楽がなるステレオから流れてきた最初の曲だった。しばらく、その音楽を聴くと、そのときの悲しい思いが思い出されたので、CDは、ずっと箱のおくのほうで眠っていた。

Carmen Souza-Cabo Verde-Lisbon


思い出してみると、2005年ころにストックホルム市内のデパート1階にあったCD売り場で求めたもの。世界の音楽コーナーというのがあって、そこからみつけだした一枚。TETE ALHINHO のVOZというCDは、ポルトガル語で歌われていて、CAPE VERDEの島アフリカ横に位置するポルトガルの旧植民地。ポルトガルのFADといえばそういう分類をする人もいるし、アフリカ音楽の中に入れる人もいるが、哀愁と独特のラテン的メロデイは、ポルトガル音楽のファドとアフリカの島の融合。

ジュネーブのモロッコレストランでかかっていたこの音楽。不思議な気持ちでその曲をききながら、その夜島の名前を思い出せなかった。モロッコ料理に舌つつみをうちながら、夜がふけていった。食事もデザートオレンジのモロッコデザートをいただいていたときに、今度は、スペインギターの弾き語りが店内に。20年ぶりの再会した知人は、こういうギターの音楽はマニラでもよく弾き語りがあって、べさめムチョなど弾き語るのですよね。といった瞬間に、べさめむちょが、ギターで奏でられ小さなレストランに響き渡った。みんなで偶然に顔をあわせた。



白人のスイス人中年女性と少し年下の体格がいい魅力的な黒人男性が酔っ払って目もうつろに、ふたりでいちゃついていた。ジュネーブの雨の夜。モロッコ料理にモロッコワインそしてベサメムチョのギター音楽で異国情緒が高まりつつ、楽しい夜となった。

昔ジュネーブに来た時は、やはり南の島でいろいろと家族ぐるみで親しかった、また留守中の犬のえさの世話をしていただいたネパール人の知人に偶然会い、一緒に食事をすることになった。そのときは、インドレストランでインド料理をいただいた。翌日は、ジュネーブ勤務だった今は亡き友人に、思いがけず招かれ、夜、韓国料理店でごちそうになった。韓国料理には、コチュジャンがなければいけません。ということばを今でもよく覚えている。スイスでは、偶然という言葉が思い浮かぶ。あそこには不思議な偶然のいたずらをする神様がいるのだろうか。

予定していたことは、スイスにでかけるということだけだった。ホテルの中庭の古い館の壁のしみや窓、窓の外の赤い花のよせ植えにとても感動したもの。部屋にはロートレックのような官能的な油絵がかかってあった。古い扉をあけるエレベーターや映画にでてきそうな古めかしいインテリアのホテルは駅すぐにあって、今回も偶然前を通りかかり、なつかしくなって、ホテルの古めかしいレストランへはいり、夜赤ワインジュネーブ産のGAMAYをいっぱいだけいただく。昔みた同じ女性の上半身が裸の絵がかかっていて、あまりいやらしくなく、10何年も変わらずにあるレストランのいすやテーブルが、スイスらしかった。

スイス料理というと、日本人男性は、うーん。チーズフォンぢゅにビーフのタルタル。ドイツ系の料理はそれほどおいしいと思いませんなあ。と人気が今ひとつ。わたしは、スーパーマーケットでおいしそうな食材にうつつを抜かし、またチーズの種類に感動していたもの。


なんとも不思議なジュネーブの夜。ポルトガル植民地音楽そしてスペイン風ギター音楽が雨音とともに、異国の夜が静かにすぎていった。もしかしたら、人生は、実は偶然の積み重なりでできているのかもしれない。シェイクスピアの劇をふと思う。

ストックホルムにもどり、ふと島の名前を思い出した。CAPE VERDEもしくはcabo verdeという。ポルトガルの植民地やブラジルなどムードのある音楽が多い。わびさびがたっぷりときいて、深い。感情の揺れ動き方。ラテンの人たちは、感情のだしかたがストレートであるのは、北欧のひとが、どちらかというとプロテスタント的におしころして回りを気にするスウェーデン社会の田舎のひとたちとは一味違うような気もする。モロッコレストランのおじさんのメニューには二種類の赤いワインリストしかなかった。アルゼンチンの赤ワイン。そしてモロッコ。アルゼンチンとモロッコワイン。

レストランをでて知人たちと別れた。雨は、不思議と冷たくなく、ジュネーブの町をぬらしていた。わたしには、亡くなった友人の涙にも思えた。レストランをでて、坂を歩くとすぐ目の前に、偶然友人が昇天していった教会が現れた。教会をぐるりと横切り、ジュネーブセントラルステーションの前を通り過ぎ、とおりを隔てたトラム電車乗り場へ。セヴぇッテ駅で降り、しばとらく歩いて、ホテルへ。途中のマクドナルドは、ぼんやりした蛍光灯の光があまり健康的でなさそうな太った若者たちが、とてもおいしそうにハンバーグを食べている姿を映し出していた。

ホテルにもどり、部屋のテレビをつけると、バビロンの映画がフランスの海外テレビで上映中。映画で日本語を聞きながら、不思議な感覚に襲われた。同時に世界でまったく違う場所で起こっている事を思う。違いを乗り越えてといわれるが、違うことを認め合うほうがむずかしい。でもとてもたいせつなこと。
by nyfiken | 2009-11-17 07:44