日本農林水産省の消費者の質問に答える。原発事故の食の安全について
2011年 03月 25日
野菜の分類や原乳など、放射性物質の検査結果に関し多くのご質問が寄せられています。このうち、特にご質問が多いものについて紹介します。
野菜
Q どのような考え方で、農産物の分類をしているのですか。
A 野菜にはいろいろな種類があり、さまざまな分類方法がありますが、放射性物質の農産物への付きかたは、ダイオキシンなどの化学物質や農薬と似ているため、食品安全に関わる国際的な食品分類を活用しています。
この分類では、空中から落下する化学物質を受ける野菜の形や、葉の面積と重さのバランスなどが考慮されています。
Q 「非結球(ひけっきゅう)葉菜類(ようさいるい)」や「結球(けっきゅう)葉菜類(ようさいるい)」とは、どんな野菜ですか。また、具体的な野菜の分類を教えてください。
A 以下の分類となっています。
[1] 主に「葉」の部分を食べるもの:葉菜(ようさい)類
※さらに、葉の形により以下のとおり分類されます。
葉が重ならずに各々広がった状態のものを「非結球(ひけっきゅう)性(せい)葉菜類(ようさいるい)」
(ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、ナバナ(カキナ)、非結球レタス(ロメインレタス、サニーレタスなど)、シュンギク )
葉が重なりあって球状になっているものを「結球(けっきゅう)性(せい)葉菜類(ようさいるい)」
(キャベツ、ハクサイ、結球レタス)
[2] 「花や蕾」の部分を食べるもの:花蕾(からい)類あるいは花菜(かさい)類
(ブロッコリー、カリフラワー)
[3] 「果実」の部分を食べるもの:果菜(かさい)類
ウリ科の果菜類(キュウリ、カボチャ)
ナス科の果菜類(トマト、ナス、ピーマン)
[4]主に「茎や葉」の部分を食べるもの:茎菜類(けいさい)類
(セロリー、アスパラガス)
[5]ネギの仲間のうち、「葉」の部分を食べるもの:ネギ属野菜類
(ネギ、ニラ)
[6]「熟していない豆やさや」を食べるもの:未成熟豆類
(エダマメ、サヤインゲン、サヤエンドウ)
[7]「地中の根など」の部分を食べるもの:根菜(こんさい)類
(ダイコン、カブ、ニンジン)
Q なぜ、ホウレンソウなどの葉もの野菜(葉菜類)から、多くの放射性物質が検出されているのでしょうか。
A 放射性ヨウ素等の放射性物質は、大気中で細かい粉じんと一緒に空中から落下し、葉の表面に付くと考えられています。このため、葉の表面が上を向いて広がっているホウレンソウなどの「非結球性葉菜類」では、他の野菜に比べて比較的高い濃度の放射性物質が検出される例が多くなっていると考えています。また、暫定基準値は、重量当たりで表しているので、同じ重さで比べた場合、表面積の多い野菜の方が高い濃度で検出されがちです。 なお、カキナや福島県において摂取制限の対象となっている茎立菜(くきたちな)、信夫冬菜(しのぶふゆな)もこの葉菜類に分類されます。
写真:出荷状態のホウレンソウ
Q カキナや茎立菜(くきたちな)、信夫冬菜(しのぶふゆな)とはどんな野菜ですか。
A いずれもアブラナ科の葉菜類で、カキナは栃木県などの北関東で、茎立菜や信夫冬菜は福島県内で主に栽培されている伝統野菜です。
Q キャベツなどの、「結球性」の葉もの野菜は「非結球性」より放射性物質の付着が少ないと言われますが、どうしてですか。
A キャベツなどの結球性野菜の場合、畑で収穫した後に、出荷にあたって外側の硬くて食用に適さない葉を2~3枚外して出荷されます。なお、落下した放射性物質を含む粉じんは外側の葉に付着するので、これを外すことにより、付着物はかなり除去されることがわかっています。
写真:出荷状態のキャベツ(外側の葉を2~3枚むいた状態)
Q ダイコンなどの根菜類は心配が少ないと言われますが、本当ですか。
A 根菜類は、摂食部分(肥大した根の部分)が主に地面の下にあるため、放射性物質を含む粉じんが直接着きにくいと考えられます。
なお、福島県においてカブから暫定基準値を超える放射性物質がされ、出荷制限措置がとられていますが、これは、分析を行う際に、葉と根の部分を一緒に分析しているため、葉に付着した放射性物質が影響したためと考えられます。
写真:出荷状態のダイコン
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生産局生産流通振興課
代表:03-3502-8111(内線4825)
ダイヤルイン:03-6744-2113
牛乳・乳製品
Q.原乳は市販されている牛乳とは違うのですか?
A.原乳とは搾ったままの牛の乳で生乳(せいにゆう)ともいわれます。原料として乳業工場に出荷されるものであり、そのまま消費されるものではありません。
Q.原乳からどのようにして牛乳乳製品ができるのですか?
A.酪農家で健康な乳牛から搾られた原乳は、その酪農家のタンクで10℃以下に冷却し、2日程度貯蔵されます。
その後、タンクローリーで多数の酪農家の原乳を集め、さらに多数の酪農家の生乳と合わせてクーラーステーションと呼ばれる施設にいったん集めた後、乳業工場に輸送されるのが一般的です。
クーラーステーションから工場に到着した大量の原乳は、加熱殺菌などの処理を経て、消費者の皆さんが召し上がっている牛乳乳製品に加工され、出荷されます。
Q.販売されている牛乳乳製品は食べても大丈夫ですか?
A.上の図で示したように、消費者の皆様が口にされる牛乳乳製品は、多数の酪農家から集められた原乳について、放射性物質に対するモニタリングを適切に実施することにより、牛乳乳製品の安全性を確保することができます。
福島県と茨城県の原乳は、出荷制限されているため、暫定規制値を超える原乳が牛乳乳製品の原料となることはありません。
また、栃木県(3月20日公表)、 新潟県(3月21日公表)及び神奈川県(3月22日公表)の調査結果では生乳から暫定規制値を超える放射性物質は検出されておりません。
牛乳・乳製品に関するお問い合わせは
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肉と卵
肉や卵と放射性物質についてのお知らせ
原乳(搾りたての乳)から放射性ヨウ素が見つかり、出荷が制限されていると報じられています。
肉や卵について心配されているかもしれませんが、次のとおり生産者にお知らせし、安全な肉や卵の供給に努めています。
肉や卵に含まれる放射性物質のレベルは、家畜に与えられた飼料や水などによって決まります。その飼料や水などの汚染は、空中に放出された放射性物質が粉じんなどに着いて落ちてくることで起こります。
飼料については、事故の発生前に生産され、タンクなどで適切に保管されていたものが、問題になるほど放射性物質を含む可能性は極めて低いと考えられます。
このような飼料とともに、粉じんなどの落下・混入が少ない井戸水や水道水を与え、畜舎内で家畜を適切に飼うことで、その肉や卵についても、問題を避けることができます。
3月23日に公表された調査結果では、茨城県の牛肉、豚肉、鶏肉及び鶏卵から放射性物質は検出されませんでした。
(参考)
1.肉・卵についても、3月17日、厚生労働省により、放射性物質の暫定規制値が示されました。具体的には、かねて原子力安全委員会により示されていた指標が暫定規制値として採用されました。
肉や卵についての暫定規制値(Bq/kg)
放射性セシウム500
ウラン100
プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種10
2.放射性ヨウ素については、半減期が短く、肉類等においては食品中への蓄積や人体への移行の程度が小さいため、指標は示されていません。
(原子力安全委員会「原子力施設等の防災対策について」119ページ)
半減期
放射性ヨウ素(131I)は、無害な形に変化し続ける性質があり、8日間で半分
まで減少する。
例えば、放射性ヨウ素を含む肉を2月間保管すると、その間に放射性ヨウ素は
約250分の1まで減少する。
3.現時点で明らかになっている調査結果としては、3月23日までに、茨城県は、同県内で生産された牛肉、豚肉、鶏肉及び鶏卵について調査し、放射性セシウムが検出されなかったことを確認しました。
肉と卵に関するお問い合わせは
生産局食肉鶏卵課
代表:03-3502-8111(内線4940)
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