スウエーデンの面白いものたち


by nyfiken
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思い出の曲。

この曲が思い出の曲と書くと勘違いされそうだ。2006年5月にたまたま東京のJR駅内にあるITUDeMOだったか、駅ビルによくある洋服から雑貨傘やお化粧品、アクセサリー、まで置いてあるお店で手に入れたCD.ボサノバ風のSOTTE BOSSAというタイトルのCDだった。

ある夜、身内の看病から帰る途中、閉店間際のお店で、ふと手にしたもの。毎日、明日はどうなるかわからない緊張した日日。気分はボサノバどころではなかったが、気分転換にでもと思い買い、そして夜遅くの電車に揺られて家路に着く。2006年5月に尊敬する友人が急逝した。知らせを受けて、いたたまれない気持ちで聴いたこの曲、もちろん涙がぽろりと流れる。CDには、島歌などボサノバ風にアレンジされていて、私の心を慰めるはずが、本当に音楽をかけるとますます涙がぽろりとなるそういったCDになってしまった。それは、身内の終焉に近い人生の最後を共に生きるという厳しい時期に、右の頬だけでなく左の頬まで殴られるような感じがしたものである。

生きるということは、楽しいときもたくさんあるけれど、いろいろな運命に翻弄されることも多い。しかし、辛いとか悲しいという感情は、やがて、薄れてきて、不思議と楽しいことが思い出されてくる。痛みは、誰にでもいろいろな形で心に残るのだろうけれど、傷と同じで癒えるのは時がたつのを待つしかない。思うに人とは勝手な思い込みの動物であり、犬や猫の思い込み(えさを決まった時間にくれるという期待感の思い込み)と同様本能なのだろうか。


さて、この甘いはずの曲は、タイトルは別にして、私にとっては、身内と友人を失うという時期に聞いた曲。タイトルは甘いのだが、むしろ海の塩味がする。いろいろなことを経験し、痛い思いをしたり、悲しい思いをしたりしているうちに、ささやかな幸福は、甘い蜜と感じられ、悲しいことは、反芻しながらも、受け入れて静かに流すことができるようになる。不思議な心の静けさで、自分を構える必要がなくなってくる。年を重ねるとは、とても素敵なこと。嵐がたくさん訪れても、雨風をやり過ごす我慢や風雪に耐える強さがついてくる。楽しいことは、素直に楽しいと思い、悲しいことは、涙を流しつつも、埋没しない心のたくまさが少しずつついてくるのがエイジング。10代から20代にかけては、小さなことで、傷つきやすい。同時に失敗を恐れない強さもある。

さて、思い出の曲は、タイトルや中身と違って、むしろそういったハードな日々をふと思い出させる。が、この曲は大好きな曲のひとつ。とりわけ、まったりとした感じがいい。この季節になると、ふと雨の日に聞きたくなる。今日のような一日中、日本の梅雨に似ているしとしと肌寒い雨のストックホルム。

固定的概念写真から夕焼け色の空に変わる。日本語は、英語より詩的。さて、犬のキスは、舌でぺろりとなめることだが、見知らぬ犬同士、会うとお尻の香りをくんくんとチェックしあうのが、自然体。ストックホルムの犬は、お互い知らん振りして歩くようにしつけられている。可愛そうなここのわんこちゃんたち。でも最近わがままな犬がちょっと増えている印象も。電車で、犬同士、お話をしたいよーワンという目線や目配せが痛々しい。

KISS 接吻 


by nyfiken | 2009-06-15 08:41