スウエーデンの面白いものたち


by nyfiken
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食品中の放射性物質に係る規格基準の設定について 1

オープン公開文書より。

食品中の放射性物質に係る規格基準の設定について

平成 23年12月22日

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会

放射性物質対策部会報告書

1.経緯
平成23年3月11日に発生した東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以
下、「福島原発」という。)の事故により、周辺環境に放射性物質が放出され
たことを受け、厚生労働省は、原子力災害対策本部と協議の上、3月 17日に、
緊急的な措置として、原子力安全委員会により示されていた「飲食物摂取制
限に関する指標」を食品中の放射性物質に係る食品衛生法上の暫定規制値と
し、これを上回る食品については食品衛生法第6条第2号に該当するものと
して食用に供されることがないよう対応することとし、各自治体に対して通
知した(参考文献1)。

同規制は、食品安全基本法第 11条第1項第3号に基づく緊急を要する場合
として、食品安全委員会による食品健康影響評価を受けずに定められたため、
同法第 11条第2項に基づき、3月 20日に、厚生労働大臣より、食品安全委
員会委員長に対して食品健康影響評価の要請がなされた。これを受けて、食
品安全委員会委員長は、3月 29日に「放射性物質に関する緊急とりまとめ」
(参考文献2)を厚生労働大臣に対し通知するとともに、諮問の内容につい
て継続して検討を行い、改めて放射性物質に関する食品健康影響評価につい
てとりまとめる方針を示した。

一方、4月4日に、魚介類中の放射性ヨウ素を相当程度検出した事例が報
告されたことを受け、4月5日、原子力安全委員会の助言を踏まえた原子力
災害対策本部の対応方針を受けて、厚生労働省は、魚介類中の放射性ヨウ素
について、2000 Bq/kgの暫定規制値を適用することとし、これを超過する場
合には、食品衛生法第6条第2号に該当する旨を各自治体に通知した。

このため、4月6日に、魚介類中の放射性ヨウ素の暫定規制値についても、
厚生労働大臣より、食品安全委員会委員長に対して、あわせて食品健康影響
評価を行うよう依頼がなされた。


今般の規格基準設定においては、4月に薬事・食品衛生審議会食品衛生分
科会放射性物質対策部会(以下、「部会」という。)が設置され、部会での議
論に加え部会において設置された2つの作業グループ(食品分類等及び線量
計算等)においても検討を重ねた。

食品安全委員会委員長は、10月 27日に、厚生労働大臣に対して、「食品健
康影響評価として食品安全委員会が検討した範囲においては、放射線による
影響が見いだされているのは、通常の一般生活において受ける放射線量を除
いた生涯における累積の実効線量として、おおよそ 100 mSv以上と判断し
た。そのうち、小児の期間については、感受性が成人より高い可能性(甲状
腺がんや白血病) があると考えられた。」とする、食品健康影響評価を答申し
た(参考文献3)。なお、放射線による影響よりも化学物質としての毒性がよ
り鋭敏に出るとされたウランについては、耐容一日摂取量(TDI)として 0.2μg/kg 体重/日が示された。

これを受けて、食品中の放射性物質に関する新たな規格基準の設定につい
て、10月 28日、厚生労働大臣より薬事・食品衛生審議会長あてに諮問がなさ
れるとともに、放射性セシウムについて食品から許容することのできる線量
を、年間5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに引き下げるとする基本的
な考え方が提案された。

2.新しい基準値の考え方
2.1 介入線量レベルについて
現在の暫定規制値は、放射性ヨウ素に対し、甲状腺等価線量で年間 50ミリ

シーベルト、放射性セシウム(放射性ストロンチウムの寄与を含む)、ウラン、

プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種に対し、それぞれ実効線量で

年間5ミリシーベルトとして設定されている。

これに対し、食品安全委員会の評価書は、管理機関が食品中の放射性物質

の管理を行う際の目安として、前述の判断を示した。また、この値は、食品

からの被ばくを軽減するための行政上の規制値(介入線量レベル)ではなく、

放射性物質を含む食品の摂取に関するモニタリングデータに基づく追加的な

実際の被ばく線量について適用されるものとしている(参考文献4)。

これについて、暫定規制値の下での食品からの追加的な実際の被ばく線量
は、中央値濃度の食品を継続摂取した場合の推計(決定論的方法)で、預託


実効線量が年間 0.1ミリシーベルト程度、90パーセンタイル値濃度の食品を
摂取した場合で年間 0.2ミリシーベルト程度と推計(いずれも、自治体等の
モニタリング検査における放射性ヨウ素及び放射性セシウムの測定結果に基
づく)されており、食品からの実際の被ばく線量は十分に低いレベルにある
と考えられる(薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会(10月 31日開催)にお
いて報告)。また、これらの推計は、汚染の無い輸入食品を摂取することなど
は考慮しておらず、多くの国民にとっては、実態よりも、高めの推計となっ
ていると考えられる。

しかしながら、当部会は、合理的に達成できる限り線量を低く保つという

考えに立ち、より一層、国民の安全・安心を確保する観点から、介入線量レ

ベルを年間1ミリシーベルトに引き下げることが妥当と判断した。

この判断の根拠は、コーデックス委員会が、食品の介入免除レベルとして

年間1ミリシーベルトを採用したガイドラインを提示していることを踏まえ

たものである(参考文献5)。

また、世界保健機関(以下「WHO」という。)は、原発事故後の状況にも使

用が可能な飲料水の基準として、年間 0.1ミリシーベルトを採用したガイダ

ンスレベルを示している(参考文献6)。このため、食品全体の介入線量レベ

ルを年間1ミリシーベルトにするとしても、その中で飲料水の規制を管理す

る際の考え方は、このガイダンスレベルを考慮すべきである。

(参考)コーデックス委員会のガイドラインの他、EUやロシア、ベラルーシ、ウクライナでは、年間1ミリシーベ
ルトを基準とした規制値が採用されている。

2.2 規制対象核種の考え方について
新しい基準値は、福島原発事故直後に設けた暫定規制値に代わり、平成 24

年4月以降の長期的な状況に対応するものである。このため、基準値の設定

において規制の対象とする放射性核種は、比較的半減期が長く、長期的な影

響を考慮する必要がある放射性核種とすべきである。

今回の事故で福島原発から大気中に放出されたと考えられる放射性核種

について、原子力安全・保安院は、その放出量の試算値(以下、「保安院試算

値」という。)を公表している。これを踏まえ、保安院試算値のリストに掲載

された核種のうち、半減期が1年以上の核種すべてを規格基準の設定で考慮

することが妥当である。すなわち、セシウム(Cs-134、Cs-137)、ストロンチ

ウム(Sr-90)、ルテニウム(Ru-106)、プルトニウム(Pu-238、Pu-239、Pu-240、

Pu-241)を規格基準における規制の対象となる放射性核種とする。

この際、放射性セシウム以外の核種は、測定に時間がかかるため、放射性


セシウムとの比率を算出し、合計して1ミリシーベルトを超えないように放

射性セシウムの基準値を設定する。

なお、現在、放射性ヨウ素は、代表核種を I-131として暫定規制値が設定
されているが、福島原発事故による線量全体への寄与が大きいと考えられる
放射性ヨウ素の中で、最も半減期が長い I-131でも約8日であり、平成 23年
7月15日以降に食品からの検出報告がないことから、規制の対象とはしない。

また、ウランは、現時点において福島原発の敷地内あるいは敷地外で測定
されているウランの同位体比が、天然に存在するウランの同位体比に比べて
変化が見られず、放出量は極めて少ないと考えられることから、規制の対象
とはしない(参考文献7、参考文献8)。

2.3 食品区分とその基準値について
2.3.1 食品区分
食品区分の設定に当たっては、①個人の食習慣の違い(摂取する食品の偏り)

の影響を最小限にすることが可能であること、②国民にとって分かりやすい規

制となること、③食品の国際規格を策定しているコーデックス委員会などの国

際的な考え方と整合することを考慮して、食品全体を1つの区分(一般食品)

で管理することを原則とすべきである。

そこで、特別な配慮が必要と考えられる「飲料水」、「乳児用食品」、「牛乳」
は区分を設け、それ以外の食品を「一般食品」とし、全体で4区分とする。

2.3.2 飲料水
飲料水は、すべての人が摂取し代替がきかず、その摂取量が大きいこと、
WHOが飲料水中の放射性物質のガイダンスレベルを示していること、水道水中
の放射性物質は厳格な管理が可能であることを踏まえ、独立した区分とする。

飲料水に区分される食品は、直接飲用する水、調理に使用する水及び飲料
水との代替関係が強い飲用茶とする。
飲料水に関する基準値は、前述のとおり、WHOが飲料水の基準として、年間

0.1ミリシーベルトとなる放射性セシウム(Cs-134、Cs-137)のガイダンスレ
ベルを 10 Bq/kgと示しており、この値を基準値とすることが妥当である。
2.3.3
乳児用食品
主に子どもが食べる食品は、食品安全委員会が食品健康影響評価書の中で、

「小児の期間については、感受性が成人より高い可能性(甲状腺がんや白血
病)」を指摘していることを考慮して、独立した区分とする。

乳児用食品に区分される食品は、健康増進法(平成 14年法律第 103号)第
26条第 1項の規定に基づく特別用途表示食品のうち「乳児用」に適する旨の
表示許可を受けたもの(乳児用の調製粉乳のみが該当するため、以下「乳児
用調製粉乳」という。)及び乳児の飲食に供することを目的として販売するも
のとする。なお、乳児用調製粉乳及び乳児の飲食に供することを目的として
販売するもののうち、粉状のものについては粉の状態で基準値を適用する。

2.3.4 牛乳
牛乳などは、子どもの摂取量が特に多いこと、食品安全委員会が食品健康
影響評価書の中で、「小児の期間については、感受性が成人より高い可能性
(甲状腺がんや白血病)」を指摘していることなどを考慮して、独立した区分
とする。牛乳に区分される食品は、牛乳の他、乳等を主原料とし、消費者が
牛乳と同類の飲料と認識する可能性が高いものとすることが適当である。す
なわち、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和 26年厚生省令第 52
号。以下「乳等省令」という。)の乳及び乳飲料とする。

2.3.5 一般食品
「一般食品」に区分される食品は、「飲料水」「乳児用食品」「牛乳」に該当し
ないすべての食品とする。

2.3.6
製造食品、加工食品
製造食品、加工食品については、原材料の状態、製造、加工された状態そ
れぞれで一般食品の基準値を適用すべきである。
その際、乾しいたけ、乾燥わかめなど原材料を乾燥し、通常水戻しをして
摂取する食品については、コーデックス委員会の Ready-to-eatの考え方を踏
まえ、原材料の状態と実際に摂取する状態(水戻しを行った状態)で一般食
品の基準値を適用することが適当である。

一方、のり、煮干し、するめ、干しぶどうなど原材料を乾燥させ、そのま

ま食べる食品は、原材料の状態、製造、加工された状態(乾燥した状態)そ

れぞれで一般食品の基準値を適用することが適当である。

また、浸出して飲まれるお茶や、米ぬかから抽出されるこめ油などの食品
については、原材料の状態と、飲用又は使用する状態で、食品形態が大きく
異なることから、原材料の状態ではなく、茶は飲む状態で飲料水の基準値を、
米ぬか及び油脂用種実を原料とする油脂は、油脂として一般食品の基準値を


適用することが妥当である。

2.4 小児の期間への配慮について
食品安全委員会の評価書において、小児の期間については、放射線の影響
を受けやすい可能性が言及されている。現在の暫定規制値で管理した場合、
小児の期間における食品からの年間の実際の被ばく線量は、前述の当部会の
決定論的推計(中央値)において、1-6歳で、年間 0.135ミリシーベルトで
ある。この値は、福島原発事故直後の放射性ヨウ素の影響を含めたものであ
り、放射性ヨウ素の影響がなくなった現時点の汚染実態を踏まえれば、小児
の年間の実際の被ばく線量はさらに小さな値になると考えられる。その際の
個人線量は、自然放射線による食品からの内部被ばく線量の地域差等と比較
しても大きくないものと推定される。

このため、新しい基準値において介入線量レベルを年間1ミリシーベルト

で管理した場合、この値を引き下げる効果が期待され、小児の期間の影響も

考慮した上で妥当な水準であると考えられる。

また、「乳児用食品」及び「牛乳」を設けることで、小児の期間の放射線防
護を優先的に行うことが適当である。
この他、小児の期間への配慮の考え方は以下のとおり。

2.4.1 基準値を計算する際の年齢区分等について
暫定規制値では、年齢区分(成人、幼児、乳児)ごとに年間食品摂取量や
線量係数が異なることに配慮し、介入線量レベルに相当する食品中の放射性
物質の濃度(以下、「限度値」という。)を年齢区分ごとに算出し、最も厳し
い限度値を全年齢の規制値とすることにより、放射線への影響の違いに配慮
をしてきた。

新しい基準値についても、引き続き同様の方法で限度値の算出を行うこと
に加え、年齢区分を「1歳未満」、「1~6歳」、「7~12歳」、「13~18歳」、「19
歳以上」の5つに細分化し、よりきめ細やかに年齢による放射能の影響を考
慮することが適当と考えられる。

また、食品の摂取量や摂取パターンには、男女の性差が見られることから、
こうした男女の差も合わせて考慮すべきと判断した。
さらに、後述する、胎児の放射線防護の観点から、妊婦についても、限度
値の算出を行うこととした。

2.4.2
胎児の放射線防護の考え方について
胎児への放射線による健康影響に関して、国際機関等の見解を要約すれば、

数十ミリグレイ(ガンマ線、ベータ線では【ミリグレイ】は【ミリシーベル
ト】と等価)未満の被ばく線量では、有害な組織反応や生涯にわたる確率的
影響の発生頻度は非常に小さいと考えられる。

当部会では、胎児に対する追加の防護対策の必要性を検討するため、妊婦
が放射性物質を含む食品を摂取することにより胎児が受ける被ばく線量を試
算した。この結果、放射性セシウムが主たる食品中の存在核種となる場合、
摂取時期による差はあるものの、胎児の被ばく線量は妊婦の被ばく線量に比
べて低くなると考えられた注。すなわち、胎児に対する防護対策は、妊婦の食
品摂取を適切に行うことにより担保できると判断した。

注)ICRPの刊行物(Publ.88)に与えられる線量係数データから、妊婦が妊娠期間を通じ均等に放射性セシウム
(134Cs及び137Cs)を経口摂取した場合、胎児が受ける被ばく線量は妊婦の半分以下となる。一方、放射性
ストロンチウム(89Srや90Sr)などの一部の放射性核種では、胎児が受ける被ばく線量の方が高くなる。し
かしながら、環境中に今後残存する放射性核種のほとんどは放射性セシウムで占められるため、他の放射性
核種の寄与を考慮しても、胎児が受ける被ばく線量は、妊婦を上回ることはないと考えられる。

3.「飲料水」以外の食品の基準値の計算
3.1. 誘導に用いる摂取量
放射性物質のような長期的なばく露を考慮することが必要な物質は、長期

間毎日摂取を続けても安全であるかどうかを評価する必要がある。これまで、

残留農薬等の長期的なばく露による影響を評価する際には、食品の平均摂取

量を用いる考え方が採用されてきた。この考え方は、我が国のみならず国際

的にも一般的なものと言える。こうした考え方に基づき、今回の基準値の誘

導で用いる飲料水以外の 1日摂取量は、国民の平均値とした。ただし、性差

や年齢区分などの明確に差が見られる点については、より厳密な評価を行う

ため、個々の摂取量を考慮することとした。

これらの値は、(独)国立健康・栄養研究所がとりまとめた「食品摂取頻
度・摂取量調査の特別集計業務・報告書」、「国民健康・栄養調査」及び(財)
環境科学技術研究所が青森県において実施した「乳幼児の食品摂取実態調
査」を参照した。

一方、「飲料水」の1日摂取量は、WHOのガイドラインを踏まえ、2Lとし
た。このうち、乳児については、個人差が大きいことを踏まえ、同ガイドラ
インにおける体重 10 kgの児の値である1Lとした。
by nyfiken | 2012-07-21 22:19