スウエーデンの面白いものたち


by nyfiken

2014年 12月 10日 ( 1 )

ノーベル狂騒曲

想像してみて欲しい。もしあなたが、ノーベル賞をもらうとする。マスコミからの電話が携帯や家の電話に鳴り続ける。メールはお祝いのメールを含め、講演のお願い、執筆のお願い、小学校以来音沙汰のない同級生や幼稚園の隣に座っていたかもしれないクラスメートや、近所のおすし屋さん、過去30年音沙汰のなかった親戚やいとこや学校の先生や一回デートしたかもしれない昔の彼女まで、連絡が来るかもしれない。子供たちは、親がノーベル賞をもらうと、不良ではいけないとか、日本ならば同棲をしていると言われるから入籍を急ぐなど、いろいろ影響がでてくる。親戚は、お祝いの会をするために、少しよい洋服をしつらえようとか、あるいは、遠縁のまたまたいとこが、どこからか出てくる。受賞者の悲喜こもごもは、当人や家族でなければわからないご苦労を思ってしまう。お風呂に入ろうとすると、風呂場の外の茂みに誰か取材の人がが隠れている。息をこらしてお風呂に入るなど、それまでの普通の生活が一遍する嵐がしばらく続く。ノーベル賞は、すぐに国の文化勲章などに連動するので、そちらのほうも忙しい。ストックホルムにいらっしゃっている受賞者は、一番暗いスウェーデンの暗闇をぱっと明るくするように、お祭り騒ぎに国を出る前から現在進行形で台風の中にいることとなる。スウェーデンのテレビ局も、視聴率をあげるため、準備している。誰のドレスが一番いいかしら?新聞社の記者さんたちも、今年は暖かいので、仕事はやりやすいだろう。おなかがすいたら、コーデネイターの人とnkデパートの近くのレバノン料理やさんでおいしくいただいているかもしれない。


政治家は、新しい政権の人たちが、お目見えする。受賞者の出た国の大使や夫人も招待されるため、その華やかな席に出席となる。11日を前に準備に余念がない。スウェーデン在住の日本人も通訳や各マスコミのコーでネいたーでお忙しい。知人の何人かは、新聞社やテレビ局の現地コーデネイターで走り回っている。先日ストックホルムを訪れた日本からの代々忍者の家系の人にも来ていただいて、しのびの術を伝授して欲しいくらい、日本からのマスコミ合戦は高まっているようだ。54歳と60歳の受賞者の先生は、大丈夫だが、80過ぎの先生は、ストックホルムの町を散歩することも自由にできずに、グランドホテルのお部屋でそっと休まれていらっしゃることであろう。

当人の受賞者たちは、あちこちに準備されている場所でレセプション、パーテイ、挨拶、記者会見と目が回る。ご高齢の受賞者は、全てをこなすと倒れてしまうので、本番まで休まれるのが懸命でもある。

一昨日は、ノーベル賞受賞者をお迎えして邦人関係者や招待された各国大使などがグランドホテルに集まった。大勢の人が集まる中、受賞者のうちお若いほうのお二人が、挨拶をされた。気取らず、中村先生のお話が、面白かった。実験や研究はギャンブルだ。ギャンブルのようにリスクを恐れずあきらめずにすること。私は行かなかったが、朝のストックホルム大学での先生たちの講演で1500回実験して失敗してもあきらめなかったお話をされたことを伺ったが、それ以上にギャンブルという言葉を何回もお使いになったことに、昔の武者小路実篤の矢を打つ話を思い出した。少し失敗すると、たいていの人はがっかりして、もうやめてもっと楽にしたいと思うが、失敗してもあきらめないことや、かけごとのようにリスクをとって夢を持ち、宝くじをあてるように楽しむ。というのだろうか。

その話を聞いてふと思ったが、知り合いで、最近500万円をスウェーデンのポストコードロッテリーで当てた人間がいる。毎月銀行口座から引かれるそうで、以前その話を聞いたときに、あたるはずがないのだから、そういうものにお金を使わずに地道に毎月200krでも貯めたほうがいいのでは?と思っていた私は心中複雑でもある。1,2度当たらないから決してあたるはずがないと思い、まったく宝くじやそういった類にはお金を使わない。それどころか、そういうギャンブルをいつも胡散臭く思ってしまうのだ。

ギャンブルと研究。この気持ちがなければ、とうていLEDができなかったと中村先生がおっしゃった。ノーベル賞とギャンブルのお話に思わず会場にいた人がうーんと聞き入ったことは確かである。
by nyfiken | 2014-12-10 02:58